外国から輸入される貨物については、日本の産業、経済、保険、衛生、公安及び風俗等に悪影響を及ぼすものがあり、これらの貨物については、それぞれの国内法令によって「輸入の制限」がされています。
関税法および他法令による輸入規制品目
輸入の制限については、外国為替及び外国貿易法その他の法令により、貨物の輸入に関して許可、承認その他の行政機関の処分または検査あるいは条件の具備を必要とする旨規程しており、この制限を、関税法による輸入の許可制に結びつけることによってその実効を確保しています。
よって、貨物の輸入について関税関係法令以外の法令の規程により許可、承認等を要する場合には、輸入申告または輸入申告にかかる税関の審査の際に他法令の許可、承認等を受けている旨を税関に証明し、確認を受けなければ輸入の許可がされないことになっています。
輸入に関する他法令については、輸入を予定している税関または最寄りの税関にお問い合わせください。また、輸入関係他法令に該当する品目を輸入される際には、輸入手続をスムーズに行うためにも、あらかじめ、主管省庁にご相談されることをお勧めします。
法令で輸入が規制されている商品の場合、日本に到着した時点で検査や手続きが必要になります。その結果、日本への輸入が認められないこともあります。
また、輸入はできても、国内で販売する際に必要な表示などが法律で定められているものもありますので、「輸入時」「国内販売時」にどのような法規制があるかしっかり把握し、輸入したい商品が該当する場合には、必要となる手続きの内容、提出書類を調べるなど、事前に確認を取っておく必要があります。
■衣類、衣料品、繊維製品の一部
■毛皮、皮革製品の一部
■お酒類
■食肉加工品
■動植物
■食品全般
■お茶や飲料
■食器、調理器具
■医療品、医薬部外品、サプリメント
■化粧品
■家庭用医療器具
■おもちゃ、玩具
■DVD、ビデオ
*輸入規制は法令ですので、違反の際は厳しく罰せられます。また最終的な判断は税関に委ねられます。
*「他法令」とは、関税関係以外の法令で、輸出又は輸入に関して許可承認等を定めたものをいいます。
詳しくは、税関(Japan Customs)のウェブサイトをご確認ください。
輸入関係他法令の概要
外国から輸入される貨物のなかには、我が国の経済、保健衛生又は公安風俗などに悪影響を及ぼす場合があり、これらの貨物については、それぞれの国内法令によって輸入の規制が行われています。
貨物を輸入しようとする場合において、関税関係法令以外の法令により輸入に関して許可、承認等を必要とする場合には、これら他の法令の規定に基づいて許可、承認等を受けて、輸入申告又は当該申告に係る審査又は検査の際にその旨を税関に証明して確認を受けなければ輸入は許可されません。
なお、法令の規定によっては、外国の政府機関等の証明等を取得していないと許可、承認が受けられないものもありますので、事前にこれらのことについて調べておく必要があります。
(関税法第70条、関税法基本通達70-3-1)
輸入関係他法令一覧表
法令名 | 主な品目 | 主管省庁課 |
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外国為替及び外国貿易法 輸入貿易管理令 |
輸入割当品目(にしん等) 輸入制限品目(鯨等) 事前確認品目(ワクチン等) |
|
鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律 | 鳥及びその加工品、獣及びその加工品、鳥類の卵 | 環境省自然環境局野生生物課 |
銃砲刀剣類所持等取締法 | けん銃、小銃、機関銃、猟銃、空気銃、刃渡り15cm以上の刀、やり及びなぎなた、刃渡り5.5cm以上の剣、あいくち並びに飛び出しナイフ等 | 警察庁生活安全局保安課 |
印紙等模造取締法 | 印紙に紛らわしい外観を有するもの | 国税庁課税部課税総括課消費税室 |
毒物及び劇物取締法 | 毒物、劇物 | 厚生労働省医薬食品局審査管理課 |
大麻取締法 | 大麻草、大麻草製品 | 厚生労働省医薬食品局監視指導・麻薬対策課 |
覚せい剤取締法 | 覚せい剤、覚せい剤原料 | |
麻薬及び向精神薬取締法 | 麻薬、向精神薬、麻薬等原料 | |
あへん法 | あへん、けしがら | |
医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律 | 医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器、指定薬物、動物用医薬品、同医薬部外品、同医療機器、対外診断用医薬品、再生医療等製品 | 厚生労働省医薬食品局監視指導・麻薬対策課 農林水産省消費・安全局畜水産安全管理課 |
水産資源保護法 | こい、きんぎょその他のふな属魚類、はくれん、こくれん、そうぎょ、あおうお、さけ科の発眼卵及び稚魚、くるまえび属の稚えび | |
肥料取締法 | 肥料 | 農林水産省消費・安全局農産安全管理課 |
農薬取締法 | 農薬 | 農林水産省消費・安全局農産安全管理課 |
砂糖及びでん粉の価格調整に関する法律 | 砂糖、でん粉 | 農林水産省生産局農産部地域作物課 |
加工原料乳生産者補給金等暫定措置法 | バター、脱脂粉乳、練乳等 | 農林水産省生産局畜産部牛乳乳製品課 |
主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律 | 米殻等(米、米粉、もち、米飯等)、麦等(大麦、小麦、メスリン、又はライ麦を加工、調製したもの) | 農林水産省生産局農産部貿易業務課 |
火薬類取締法 | 火薬、爆薬、火工品(導火線等) | 経済産業省原子力安全・保安院保安課 |
高圧ガス保安法 | 高圧ガス | |
化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律 | 化学物質 | 経済産業省製造産業局化学物質管理課 |
石油の備蓄の確保等に関する法律 | 石油、揮発油、灯油及び軽油 | 経済産業省資源エネルギー庁資源・燃料部石油精製備蓄課 |
郵便切手類模造等取締法 | 郵便切手類に紛らわしい外観を有するもの | 総務省情報流通業政局郵政行政部郵便課 |
アルコール事業法 | アルコール分90度以上のアルコール | 経済産業省製造産業局化学課アルコール室 |
食品衛生法 | すべての飲食物、添加物、食器、容器包装、おもちゃ等 | 厚生労働省医薬食品局食品安全部企画情報課検疫所業務管理室 |
植物防疫法 | 植物(顕花植物、しだ類又はせんたい類に属する植物(その部分、種子、果実及びむしろ、こもその他これに準ずる加工品を含む))、有害植物(細菌、寄生植物等)、有害動物(昆虫、ダニ等) | 農林水産省消費・安全局植物防疫課 |
狂犬病予防法 | 犬、猫、あらいぐま、きつね、スカンク | 農林水産省消費・安全局動物衛生課 |
家畜伝染病予防法 | 偶蹄類の動物、馬、鶏、あひるなどの家きん、兎、みつばち及びこれらの動物の肉、ソーセージ、ハム等、稲わら(一部) | |
感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律 | サル、プレーリードッグ等 | 厚生労働省健康局結核感染症課 農林水産省消費・安全局動物衛生課 |
特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律 | ブラックバス、カミツキガメ等 | 環境省自然環境局野生生物課 |
労働安全衛生法 | 有害物等(石綿等) | 厚生労働省労働基準局安全衛生部化学物質対策課 |
*詳しくは、税関『税関で確認する輸入関係他法令の概要』をご覧ください。
食品衛生法に基づく輸入規制
食品衛生法は、販売の用に供し、又は営業上使用する全ての食品、添加物、器具、容器包装又は乳幼児用おもちゃの輸入について、そのつど厚生労働大臣に届け出なければならない旨を定めています。
これらの貨物を輸入しようとする場合は、検疫所に「食品等輸入届出書」を提出し、食品衛生監視員から交付を受けた届出済印等が押なつされた「食品等輸入届書」を税関に提出し確認を受けて下さい。確認を受けた後でなければ輸入は許可されません。
(関税法第70条、関税法基本通達70-3-1、食品衛生法第27条、第62条)
*詳しくは、税関『食品衛生法に基づく輸入規制の税関における確認内容』をご覧ください。
植物防疫法に基づく輸入規制
外国から輸入される植物類は、植物防疫法の規定により植物検疫を受けることを義務付けられています。また、輸入禁止地域から発送又は経由して輸入される特定の植物、昆虫、ダニ、細菌等の有害動植物、及び土又は土の付着した植物等は、試験研究の目的等で許可を受けた場合以外は輸入禁止品として輸入してはならないと定められています。
これらの物品は、一般貨物、携帯品、国際郵便物等の輸送形態に関わりなく、また、量の多少、お土産、個人消費等の用途に関係なく全て規制の対象となります。ただし、製材、防腐木材、木工品、竹工品及び家具什器等の加工品、籐及びコルク、麻袋、綿、製茶、乾たけのこ、あんず、いちじく、柿等の乾燥果物等は、植物防疫法に基づく検査を要しないものと定められています。
(関税法第70条、関税法基本通達70-3-1、植物防疫法第6条、第7条、第8条、同法施行規則第19条)
*詳しくは、税関『植物防疫法に基づく輸入規制の税関における確認内容』をご覧ください。
家畜伝染病予防法に基づく輸入規制
家畜伝染病予防法は、家畜の伝染性疾病の国内への侵入防止及びまん延防止のため、輸入貨物のうち検疫を受けなければならないもの、輸入が禁止されているものを定めています。これらのものを輸入しようとする場合は、農林水産省動物検疫所の 検査を受け輸入検疫証明を取得するか、農林水産大臣の許可を受けなければなりません。
輸入規制対象物品としては、牛、豚、羊等の偶蹄類の動物、馬科の動物、家きん(鶏、うずら、きじ、だちょう、ほろほろ鳥、七面鳥、あひる・がちょうなどのかも目の鳥類) 、兎、みつばち及びこれらの肉、臓器、卵、ソーセージ、ハム等、稲わら(一部)が指定されています。
これらの物品は、一般貨物、携帯品、国際郵便物等の輸送形態に関わりなく、また、量の多少、お土産、個人消費等の用途に関係なく全て規制の対象となります。これらの規制対象物品を輸入しようとする場合は、動物検疫所の検査結果に基づいて交付された輸入検疫証明書を税関に提出して、家畜伝染病予防法に定められている検査に合格し、許可等を受けていることについて、税関の確認を受けなければなりません。
(関税法第70条、関税法基本通達70-3-1、家畜伝染病予防法第36条、第37条、第40条、第44条、同法施行規則第45条)
*詳しくは、税関『家畜伝染病予防法に基づく輸入規制の税関における確認内容』をご覧ください。
医薬品医療機器等法に基づく輸入規制
医薬品、医薬部外品、化粧品及び医療機器等は、医薬品医療機器等法により厚生労働大臣の製造販売業又は製造業の許可を受けた者でなければ、業としてこれらを輸入してはならないと定められています。
医薬部外品には、養毛剤、浴用剤等、人体への作用が緩やかなものが指定されています。これら規制対象物品については、輸入申告の際、医薬品医療機器等法上の許可、承認等を受けていることを税関に証明しなければなりません。具体的には、厚生労働大臣が交付する「製造販売(製造)用医薬品等輸入届出書(輸入販売業許可証)」、「医薬品等輸入報告書」等が必要です。
個人が自分で使用するために輸入する場合は、医薬品医療機器等法上の許可、承認等を受けなくても一定数量以内である等、規程の範囲内であれば、輸入できます。
*詳しくは、税関『医薬品医療機器等法に基づく輸入規制の税関における確認内容』をご覧ください。
医薬品・化粧品等の個人輸入
医薬品・医薬部外品・化粧品・医療機器等は、医薬品医療機器等法の規定により、厚生労働大臣の輸入販売業の許可を受けた者でなければ、業として輸入してはならないと定められています。
個人が自分で使用するために輸入する場合は、製造販売業の許可を受けていなくても、規程の範囲内であれば輸入することができます。なお、個人使用として輸入した製品を、他人に売ったり譲ったりすることは認められません。
*詳しくは、税関『医薬品・化粧品等の個人輸入について』をご覧ください。
銃砲刀剣類所持等取締法に基づく輸入規制
銃や刀剣類は「銃砲刀剣類所持等取締法」でその所持等を規制しています。
(1)一般の銃砲、けん銃部品、狩猟用銃又は競技用銃である場合は、都道府県公安委員会が交付する「銃砲所持許可証」
(2)一般の刀剣類である場合は、都道府県公安委員会が交付する「刀剣類所持許可証」
(3)火なわ式銃砲等の古式銃砲及び美術品としての価値のある刀剣類の場合は、都道府県教育委員会が交付する「銃砲刀剣類登録証」又は「登録可能証明書」
また、銃や刀剣類は輸入貿易管理令により、経済産業大臣の承認を受けなければ輸入できません。
(関税法第70条、関税法基本通達70-3-1、銃砲刀剣類所持等取締法第3条の4、第3条の5、第3条の6、第4条、第14条、輸入貿易管理令第4条)
*詳しくは、税関『銃砲刀剣類所持等取締法に基づく輸入規制の税関における確認内容』をご覧ください。
ワシントン条約該当物品の輸入規制
絶滅のおそれのある動植物の輸出入等の国際取引を規制し、絶滅から保護することを目的として、1973年にワシントンにおいて「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」が採択されました。この条約をワシントン条約といいます。この条約により規制対象となる動植物は、絶滅のおそれの度合いによって条約の附属書 I 、II 、III に区分されており、この附属書ごとに輸入規制の内容が定められています。
この条約では、ペットや鑑賞用の生きている動植物はもちろんのこと、はく製、これらを使用して作られたコート等衣類、ハンドバッグ、ベルト、靴、細工品、漢方薬も規制対象となっています。
ワシントン条約で規制されている物品を輸入する場合、条約で定められた輸出国の政府機関の発給する輸出許可書や、経済産業省が発給した輸入承認証等が必要です。
*詳しくは、税関『ワシントン条約該当物品の輸入規制の概要』をご覧ください。


